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9月22日

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《戦闘》の定義を、“どちらか一方が屈服するまで攻め続けること”とするならば、中国はすでに戦闘を始めている、という認識が必要だと思います。

攻め手の一撃目が弾丸による攻撃ではなかった、というだけで、相手方はもはや融和する気などなく、徹底抗戦することを明言し、実際、

いくつかの戦闘のカードをすでに切っています。そして、中国国内はもちろん、東アジアで日本を孤立させることを狙っているようです。

 

元外務省職員で中国にも務められたことのある浅井基文氏のHPには、9月に入ってからの中国側の論文を多数掲載されています。

出来れば、情報元である、浅井基文氏のHPのコラム2012を訪れていただき、特に「尖閣「国有化」後の中国の対日観1〜5」を

読んでいただきたいと思います。

言葉は悪いですが、中国側の日本に対する対決意思の堅さに比べ、私を含めた日本国民のぼんやりした意識との格差に驚ろかされました。

 

おそらく、これは少しでも多くの日本人が認識しなければならないことと思います。相手を知らずして、戦いを真正面から挑むのは無謀者だけだからです。

自分にとって心地のいい情報だけを取り入れ、都合の悪い情報を見ないようになったチームが戦いに勝つことはあり得ません。

その上で今後中国とどのように付き合っていくのか、あるいは本気で国交断絶するとして、その後の日本経済を受け入れる覚悟が日本にあるのか、

そうしたいくつもの選択肢を真剣に考えなければならない局面を迎えているように思います。

 

(ここにいきなりですが追記。正直なところ、私も浅井氏の文を全て読んでいるわけでなく、ほとんど“つまみ食い”レベルでしか読めておりません。

つい先ほど読んだ、領土問題を考える視点は、中国側からの論点なれど、かなり中立的な立場を考慮した上での見解になっておりました。

太平洋戦争後の中ロ韓米間による戦後の日本の領土問題について核心的な論文になっています。ぜひ、ご一読ください。)

 

 

さて、私自身も状況を理解するために、いくつか引用させていただきながら整理してみましょう。

人民日報系列の環球時報の9月11日付社評から

…日本とは一日二日の闘いではなく、今後数十年にわたって釣魚島で圧倒し続ける必要がある。


  釣魚島はどこかに行ってしまうことはあり得ず、衰退する日本は最終的に守り切れない。

中国が釣魚島を回復する過程は、日本という昔からの相手を屈伏させる過程にほかならない。我々が今日受け身であることは事実だが、

一歩一歩主導権を奪回して、日本をして中国の力を改めて実感させることは必ずできる

及び12日付社評から

20世紀70年代から発展して来た中日友好関係は、すでに以前から満身創痍だったが、昨日に至って完全に崩壊した。

中国人が日本に対して一世紀以上にわたって抱いていた怒りは、昨日そのすべてが呼び覚まされたのであり、

このことはまた、日本社会の中国に対する受けとめ方にも必ずや反映されることになるだろう。

中日が再び相互に仇敵視する二つの民族となることは恐らく避けがたく、中日関係は必ずや大摩擦期に入っていくことになるだろう。


中国側としては、中日関係がさらに悪化し、極端に悪化することにすら十分な準備をするべきだ。

中国側の工作の重点は、両国関係の悪化の過程が中国の核心的利益を害さないことを確保することに置くべきだ。

 

日本は生半可な態度で相手の出方を待つ、などと呑気なことを言っている場合ではなく、対中国政策を真剣に考える必要があると思います。

アメリカ頼り一本やりの外務省や自民党の外交の方向性で、この戦略を練るのは難しいのではないでしょうか。結果的に民主党もアメリカ頼りになる

可能性が高いですが、別働隊の対中国チームが必要だと思います。しかしその任に足る人材が国内にどれくらいいるかどうか。

むしろ、日本の視野の狭い方々は、太平洋戦争時の日本同様、好んで名誉ある(?)孤立を選択したがっているようですが、まさしく相手の思うツボ。

環球時報社評の9月13日付から

何代にもわたって中国人は、心の奥底にしまった対日不満感情を抑制し、20世紀の80年代における短い友好黄金期には、

両国関係に一定の治療作用を起こした。しかしそれは徹底したものではなかった。

日本が靖国神社、教科書などの根深いもめ事をしでかした後、中日関係の冷却化はすでに定まっていた。

釣魚島の衝突は、中日関係悪化の新たなターニング・ポイントだ。日本人はあるいは自分たちの同島「防衛」の決心は

非常に固いものだと信じているかもしれないが、中国人の同島防衛の立場はさらに固いものであることを同時に考えるべきである。

 

現在における中日の力量はすでに完全に20世紀の状況ではなく、中国と対抗することは、

日本の右翼の極端な信条には合致するだろうが、日本という国家全体からすれば堪えきれない重さとなる。

 

 釣魚島の衝突は、中国人の堪忍袋の緒を切らせるものだ。釣魚島問題は、我々をして日本の対外政治の汚さを見届けさせ、

いかなる友好的な態度も日本側の同様の友好をお返しでもたらすことはないことを確信させた。

日本は、過去において我々に血債を負っているだけでなく、いささかの後悔もなく、またもや我々の傷口に塩をまき散らそうとしている。

しかもこれが正に落ちぶれつつある日本でありながら、古い時代の傲慢さをもってさらに我々中国のほっぺたをひっぱたこうというのだ。

よかろう。我々も手を挙げて日本の横面を張ってやろう。このびんたは、多くの中国人の心の中で長い間秘かにこだましていたものだ。


今、日本のニュースで見る中国のデモや尖閣諸島沖での行動などは、こうした思想を背景に行動していることは認識しておくべきことと思います。

環球時報の9月15日付から

中ロ韓は、手をつないで行動する可能性があるし、東南アジア諸国の共鳴を得ることも望むことができる。

 

 要するに、徹底的に日本を孤立させるべきであり、もはや無条件で中日友好を語ることはやめ、その制度や方法を根本から変えさせる。

中日友好は原則のない友好ではあり得ず、ましてや日本の右翼勢力との友好ではないのであって、

日本が心を入れ替えて再出発する基礎の上での友好であり、日本の健康な力との友好、平和国家になる日本との友好を建設する。」

 

 

戦争とは、一見したところ、武力と武力の戦いと思われがちですが、実は、戦争を続ける経済的裏打ちのない戦闘は長続きしないのです。

戦争以前にすでに崩壊ギリギリだった日本経済に長引く戦闘を行う余力はなく、中国側は冷静にその点を見切って戦略をたてています。

今回中国側は、人的物量と経済的な攻撃から始めているようですが、戦いの規模が大きくなればなるほど、被害は大きくなるわけで、

争いが拡大する前に収めた場合のメリットと、プライドをかけて体力勝負の争いの応酬合戦に突入した場合、の判断を間違えると、

泥沼化した際の、実体経済と心の傷の大きさは計り知れなくなるでしょう。

 

環球時報17日付の社評から

…日本が周辺諸国とりわけ中国に対して強硬であるのは、中日間のいかなる衝突においても、

アメリカは日本の側に立つという彼らの認識と大きな関係がある。

…しかし、中国の戦略家たちは、アメリカは他国の利益のために戦争することはあり得ず、ましてや釣魚島の主権が誰に属するかについて

今に至るも何も言えない中で、アメリカが日本のために戦争することはなおさらあり得ないと認識している。…

 

 中日対立の長期的な勝敗の形勢ははっきりしており、日本は中日間の矛盾を中米衝突に転換させようとするだろうが、

そうすることができるかどうかの決め手は日本の手にはなく、アメリカそして中国の手の中にある。

日本の戦略的位置は間違いなくますます小さくなっており、ロシアですら手を伸ばせば日本を弄ぶことができる。

 

この戦い、素人の私が見るところ、すでに勝敗は眼に見えていて、中国側の圧勝です。

日本の民主党・自民党の党首選で、対中国政策についてこうした相手方の考え方をふまえた論戦は全くみられないように思います。

日本国内の世論が、尖閣諸島の領土問題に関心があるので仕方がなく強気に出てみた、程度の対応で、

これまでみたような大国意識に目覚めた中国側の状況認識や戦略に太刀打ちできるとは思えません。

といいますか、この問題に太刀打ちすることで日本社会が払う代償の大きさを日本の政治家のみならず、何より日本国民が真剣に、

そして現実的に考えなければならない状況に至っていると思いますが、どうでしょうか。

 

私が日本が勝てない、というのは、日本のあらゆる体制が戦闘(経済戦争を含む)に現在不向きだからです。

日頃ランニングで足を鍛えていない人が、いきなりフルマラソンを走れないのと同様に、

日本が自律的に動ける国家体制や生活物資やエネルギーの安定的な確保、独自の外交ルートなどが、一夜漬けでできるわけがありません。

特に太平洋戦争時にも一番のネックになった物資不足の課題は当時と同じまま改善できていません。島国日本の弱点。

相手側の考えを知った日本国民が、相手の力と自分の力(持久力を含む)を見誤り、

ただ感情的になって“プライドを守る”ために、本土決戦する、とかいう太平洋戦争末期の思想が復活するのは真っ平御免です。

もし今回の負けが耐えられないのであれば、この屈辱を胸に秘めて、十年単位で国民の意識を変えていくしかないと思いますね。

しかしどちらにせよ、日中友好は数十年の間は冷却したままになるでしょうね。

今後何十年と中国と絶縁する覚悟でなければ、石原伸晃が首相につくことはリスクが大きすぎます。今回の引き金を引いたのは父・慎太郎ですから。

もちろんプライド最優先の安倍晋三はもってのほか。日本国民に国のために死ねと平気で言える人と思いますから。

今回は、上手な負けかたを考えなければならないように思います。

或いは、アメリカに無条件の借りを作ってより属国化することを甘んじて受け入れますか?

その場合、オスプレイや原子力空母などによる在日アメリカ軍基地の無条件使用などの条件が交渉条件になる可能性が高いです。

経済的にもプラザ合意のような無理難題を飲まされるかもしれません。

 

なんだか、ペリー来航で日本の仕組みを変えなければ、と奔走した島津斉彬の気持ちがようやくわかるような気がしてきましたよ・・・。

 

※今回の文章は私にとっても未整理のため、今後部分的に書きかえる可能性があります。あしからず。

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